一人暮らしの母を支えるため、実家に戻って生活をすると売却時に600万円損をするお話

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一人暮らしの母を支える前に知っておきたい売却の落とし穴

「一人暮らしの母を支えるため、実家に戻って生活をすると売却時に600万円損をするお話」について解説いたします。

ポイントは「空き家の3,000万円控除」という制度です。

①相続物件が戸建で昭和56年より前に建築されたもの
②相続物件の購入したときの契約書や領収書が無い場合

に当てはまる場合に関係してきます。

具体的なケース

例えばのケースをお話します。

実家に一人暮らしをしているお母様(95歳)。
ほとんど普段から身動きができず、家事もままならないため長女のAさんはお母様が亡くなるまで数年間と決めてご実家に戻りました。
数年後、長女のAさんも一生懸命介護をしましたが残念ながらお母様がご逝去されました。
Aさんも元のご家庭に戻り住み替え、不要となったご実家の戸建を売却しました。
しかし売却をしてから半年後、600万円の税金を納めるよう通知が来て初めて譲渡所得税を知ることになります。
Aさんが良かれと思ってお母様と生活をしたことにより、税金が高くなるという何とも使い勝手の悪い制度があります。
それが「空き家の3,000万円控除」です。
お母様から相続したご実家の戸建を売却する際に売却価格の20%分の税金(譲渡所得税)が数百万高くなるのです。
それはAさんだけではなく、兄弟のBさんCさんが仮にいた場合に共に相続をした場合も同じ目に合ってしまいます。
なぜかお母様と一緒に住まなければ、この税金600万円を回避できたのです。

譲渡所得税について

不動産を売却する際には譲渡所得税という税金がかかります。
それは得た利益に対してかかる税金なのですが、お母様(お父様)がいくらでその不動産を取得したかわかる契約書等が無い場合は概算で売買価格の95%から諸経費を引いた金額に20.315%(5年以上所有した場合)の税金がかかります。
仮に3,300万円でご実家が売却できたとして、諸経費で100万円かかった場合は、

3,300万円×0.95-100万円=3,035万円に税金20.315%をかけた約600万円が譲渡所得税としてかかります。
しかも相続税とは別にかかるのです。

空き家の3,000万円控除はこの不動産売却で得た利益(3,035万円)を3,000万円までなら引くことができるという制度です。
税金は35万円×20.315%の約7万円まで下がるのです。

その制度を使うことができる条件としては

①亡くなった方が一人暮らし
②相続物件が戸建かつ旧耐震基準(昭和56年5月31日より前に建築確認済)
③亡くなってから相続までに賃貸に出していない、ご家族も誰も住んでいないこと←こちらも重要な点です
④売却価格が1億円以下であること
⑤亡くなった日から以降3年を経過した日の属する年の12月31日まで売却をしたとき

です。

今回のケースは①の条件を満たすことができなかったのです。
ご家族が実家に戻ってご両親の介護をするという優しい気持ちに対して、なかなか非情な制度だと思います。
このパターンでも不動産をいくらで取得したかわかる契約書があり、3,300万円より高く購入をしてことが証明できれば、そもそも空き家の3,000万円控除を利用するまでもなく税金はかかりません。(減価償却を除いて)
毎度記載させていただいておりますが、ご実家の契約書の場所はわかるようにしておいてもらえると600万円得するかもしれません。

ご不明な点がございましたらお気軽にお申し付けください。