この記事の要約
相続した実家は、すぐに決められないまま数年が過ぎてしまうことの多い不動産です。ただ、空き家のまま持ち続けると、固定資産税や管理の手間だけでなく、建物の傷みや近隣トラブル、税制上の優遇が使えなくなるといったリスクが積み重なっていきます。この記事では、実家をそのままにしてしまう理由から、放置した場合に起きること、売る・貸す・使うという三つの選択肢の考え方、売却前に済ませておきたい相続登記や書類の準備、きょうだいで分けるときの進め方までを順番に整理します。
「そのうち片付けよう」と思っているうちに、一年、二年と過ぎてしまった。
相続した実家について、こうしたお話をうかがうことは本当に多くあります。仏壇や思い出の品がそのままで、手をつけるきっかけがない。きょうだいで話し合おうにも、それぞれ生活があって集まれない。誰も困っていないから、とりあえず現状維持になっている。
ただ、空き家は置いておくだけで静かにコストとリスクが積み上がっていきます。しかも、時間が経つほど選択肢は減っていきます。慌てて決める必要はありませんが、何がどう変わっていくのかは知っておいたほうが安心です。この記事では、その判断材料を整理していきます。
目次
- 相続した実家がそのままになりやすい理由
- 気持ちの整理がつかないまま時間が過ぎます
- きょうだい間で話を切り出しにくい状況があります
- 名義変更が済んでいないと動けません
- まだ住めるから、と判断を先送りしがちです
- 空き家のまま持ち続けるとかかるコストとリスク
- 固定資産税と維持費は住んでいなくてもかかります
- 建物は人が住まないほど傷みが早く進みます
- 庭木・害虫・不法投棄など近隣トラブルにつながります
- 管理不全と判断されると税負担が大きく増えることがあります
- 売却時の税制優遇には期限があります
- 実家をどうするか、選択肢は大きく三つです
- 売る場合は、時期と手間で方法が変わります
- 貸す場合は、修繕費と管理の手間が前提になります
- 誰かが住む場合は、他の相続人との調整が必要です
- 売却を選ぶ場合に、先に済ませておきたいこと
- 相続登記は済ませておく必要があります
- 境界と面積の確認は早めが安心です
- 家財と書類は分けて整理していきます
- 建物の状態は無理に直さなくて構いません
- きょうだいで分けるときの進め方
- 現金化してから分けると話がまとまりやすくなります
- 共有名義のまま持ち続けると、次の代で複雑になります
- 窓口役を一人決めると進みが早くなります
- すまいコンシェルジュ株式会社にご相談いただけること
- よくあるご質問
- まとめ
相続した実家がそのままになりやすい理由
まずは、なぜ決められないのかを整理しておきます。理由がはっきりすると、次に何をすればいいかも見えてきます。
気持ちの整理がつかないまま時間が過ぎます
実家は、単なる不動産ではありません。育った家であり、親御様が長く暮らした場所です。売るという判断に踏み切れないのは当然のことですし、急ぐ必要もありません。ただ、気持ちの問題と、建物や税金といった現実の問題は、別々に考えたほうが進めやすくなります。「まだ決めない」という選択をするにしても、何がどう変わっていくのかを知ったうえで決めるほうが、後悔が残りにくくなります。
きょうだい間で話を切り出しにくい状況があります
自分から売却の話を出すと、財産を早く受け取りたいと思われないか。そう考えて言い出せないまま、全員が様子を見ている状態はよくあります。実際には、全員が同じことを気にしていた、というケースも珍しくありません。まずは「どうするか決めよう」ではなく、「いくらくらいの価値があるか調べてみよう」から入ると、話を始めやすくなります。金額という共通の材料があると、感情ではなく条件の話に移りやすくなります。
名義変更が済んでいないと動けません
亡くなった親御様の名義のままでは、売ることも貸すこともできません。相続登記は2024年4月から義務化され、取得を知った日から3年以内に申請することが求められています。正当な理由なく手続きをしない場合、過料の対象になることもあります。ここが済んでいないと、いざ売ろうと思ったときに数か月止まることになります。まだの方は、まずここから着手するのが現実的です。
まだ住めるから、と判断を先送りしがちです
築年数が経っていても、しっかりした造りの家は「まだ住める」と感じるものです。ただ、人が住まなくなった家は傷みが早く進みます。今の状態が続くわけではない、という前提で考えておくことが大切です。数年後に同じ判断をしようとしたとき、建物の価値がほとんど残っておらず、土地としての評価だけになっていることもあります。
空き家のまま持ち続けるとかかるコストとリスク
「誰も住んでいないだけ」と思っていても、実際には毎年出ていくお金と、じわじわ大きくなるリスクがあります。ここを具体的に見ておきます。
固定資産税と維持費は住んでいなくてもかかります
固定資産税・都市計画税は、住んでいるかどうかに関係なく、所有している限り毎年かかります。加えて、火災保険料、電気や水道を止めていない場合の基本料金、庭木の剪定や草刈りの費用も発生します。遠方にお住まいの場合は、様子を見に行くための交通費も無視できません。年間で見ると、思っていたより大きな金額になっていることがよくあります。
建物は人が住まないほど傷みが早く進みます
換気されない家は湿気がこもり、カビや木材の腐食が進みます。水を使わない配管は封水が切れ、においや虫の侵入につながります。雨漏りが起きても誰も気づかないため、発見したときには構造部分まで傷んでいることもあります。定期的に窓を開けて風を通し、水を流すだけでも状態は変わりますが、遠方だと現実的に難しいところです。
庭木・害虫・不法投棄など近隣トラブルにつながります
枝が越境した、雑草が伸びて虫が発生した、敷地にごみを捨てられた。空き家をめぐるご近所の困りごとは、こうした身近なところから始まります。管理が行き届いていないと分かると、不法投棄の対象にもなりやすくなります。近隣の方にとっては日常の問題ですので、放置が続くと関係がこじれてしまうこともあります。
管理不全と判断されると税負担が大きく増えることがあります
住宅が建っている土地は、固定資産税の住宅用地特例によって税額が軽減されています。ただし、倒壊のおそれがあるなど著しく管理状態の悪い空き家は「特定空家」に、そのまま放置すればそうなるおそれのある空き家は「管理不全空家」に指定される可能性があります。指定を受けて勧告に至ると、この特例が適用されなくなり、土地の固定資産税の負担が大きく上がります。すぐにそうなるわけではありませんが、放置し続けた先にある話として知っておきたい点です。
売却時の税制優遇には期限があります
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から控除を受けられる特例があります。ただし、この特例には相続開始から一定期間内に売却することという期限があり、建物の耐震性や取り壊しの有無といった条件も関わってきます。使えるかどうかで手取り額が大きく変わる可能性がありますので、売却を少しでも考えている場合は、期限の確認だけでも早めに行っておくと安心です。具体的な適用可否は税理士や税務署にご確認ください。
実家をどうするか、選択肢は大きく三つです
売る、貸す、誰かが住む。この三つのどれを選ぶかで、必要な準備も費用も変わります。それぞれの前提を確認しておきます。
売る場合は、時期と手間で方法が変わります
売却には、買主を探す仲介と、不動産会社が直接買い取る買取があります。時間をかけてでも高く売りたいなら仲介、時期を確定させたい・手間をかけたくないなら買取が向いています。相続の場合、遠方に住んでいて内見のたびに現地へ行けない、きょうだいで早く分けたいといった事情から、買取を選ばれる方が多くいらっしゃいます。家財が残ったままでも相談できる点も、選ばれる理由のひとつです。
貸す場合は、修繕費と管理の手間が前提になります
賃貸に出せば収入になりますが、貸せる状態にするための修繕やクリーニングに費用がかかります。給湯器や水回りの設備が古い場合は、入居前に交換が必要になることもあります。加えて、入居後の管理、修繕対応、退去時の原状回復といった手間が続きます。借り手がつかない期間は、費用だけが出ていくことになります。収支が合うかどうかを、先に数字で確認しておくことが大切です。
誰かが住む場合は、他の相続人との調整が必要です
きょうだいの誰かが住む、あるいは子ども世帯が使うという選択もあります。この場合、住む人以外の相続人にどう分けるかという調整が必要になります。不動産の価値に見合う現金を用意できるかがポイントで、ここが折り合わずに話が止まってしまうこともあります。住みたいという希望がある場合は、早めに全員へ伝えておくほうがまとまりやすくなります。
売却を選ぶ場合に、先に済ませておきたいこと
売ると決めたあとに慌てないよう、先に手をつけておくと良い項目を挙げておきます。
相続登記は済ませておく必要があります
売買契約を結ぶには、名義が相続人に移っている必要があります。戸籍の収集や遺産分割協議書の作成が必要になるため、相続人が多い場合や連絡が取りにくい方がいる場合は、それだけで数か月かかることもあります。司法書士に依頼すれば手続きは進めてもらえますので、まずは何が必要かを確認するところから始めてみてください。
境界と面積の確認は早めが安心です
土地の境界がはっきりしていない、隣地との間に古い塀があってどちらのものか分からない。こうしたケースは戸建てでは珍しくありません。測量が必要になる場合、隣地の方の立ち会いが要るため時間がかかります。手元に測量図があるか、境界標が現地にあるかを確認しておくと、売却時の話が早く進みます。
家財と書類は分けて整理していきます
家財の片付けは大変な作業ですが、すべてを一度にやろうとすると手が止まります。まずは権利証、測量図、建築確認済証、固定資産税の納税通知書といった書類だけを探して確保してください。これらは査定にも手続きにも必要になります。家具や家電については、買取であればそのままの状態で引き取れる場合もありますので、無理に処分を進める前に一度ご相談いただくほうが結果的に負担が少なく済みます。
建物の状態は無理に直さなくて構いません
売却前にリフォームしたほうが高く売れるのでは、と考える方もいらっしゃいますが、かけた費用がそのまま価格に反映されるとは限りません。特に築年数の経った建物では、次の所有者が自分の好みで手を入れることが前提になるため、直さずに現況のまま売るほうが合理的なケースが多くあります。雨漏りや傾きがある場合も、その状態を前提に評価しますので、隠さずお伝えいただければ大丈夫です。
きょうだいで分けるときの進め方
相続不動産で最も時間がかかるのが、この部分です。進めやすくするための考え方をまとめます。
現金化してから分けると話がまとまりやすくなります
不動産のままでは、きれいに分けることができません。「誰がどこを取るか」という話は感情が絡みやすく、まとまりにくいものです。売却して現金にしてから分ける方法であれば、金額で公平に分けられます。この方法を取る場合、売却時期が読めないと話し合いも宙ぶらりんになりますので、引き渡し時期を確定できる買取が選ばれることもあります。
共有名義のまま持ち続けると、次の代で複雑になります
とりあえず全員の共有にしておく、という判断は一見公平ですが、将来的に負担が大きくなります。売却するには共有者全員の同意が必要で、一人でも反対すれば動けません。さらに共有者が亡くなると、その持分がその方の相続人に移り、関係者がどんどん増えていきます。次の世代に判断を残さないという意味でも、今の代で整理しておくことをおすすめします。
窓口役を一人決めると進みが早くなります
全員が同じ情報を同じタイミングで受け取ろうとすると、日程調整だけで時間が過ぎていきます。不動産会社や司法書士とのやり取りを担当する窓口役を一人決め、その方が内容を共有する形にすると、格段に早く進みます。決定は全員で、連絡は一人で。この分け方が現実的です。
すまいコンシェルジュ株式会社にご相談いただけること
相続した不動産は、名義、税金、きょうだい間の調整、建物の状態と、確認すべきことが同時に発生します。何から手をつければいいか分からない、という状態でご相談いただくことがほとんどです。すまいコンシェルジュ株式会社では、横浜エリアを中心に、相続不動産の売却について初期段階からのご相談をお受けしています。
まずは金額を知るところからで構いません
売ると決める前に、いくらくらいになるのかを知りたい。その段階でのご相談を歓迎しています。金額という共通の材料があると、きょうだい間の話し合いも進めやすくなります。査定を受けたからといって売却を決める必要はありませんので、判断材料としてご利用ください。
相続登記や税金は、専門家と連携して整理します
登記が済んでいない、税金の特例が使えるか分からないといった点は、必要に応じて司法書士や税理士と連携しながら進めます。窓口を一つにまとめることで、それぞれに別々に相談する手間を減らせます。今の状況で何が必要か、どのくらい期間がかかるかの見通しをお伝えします。
家財が残ったまま、遠方からのご相談も対応できます
片付けが終わっていない、県外に住んでいて現地に行けない。こうした状況でも進め方はあります。現地確認や近隣への配慮も含めて対応いたしますので、詳しくは当社ホームページ(https://sumai-cc.com/)よりお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
Q. 相続登記がまだ済んでいませんが、相談できますか。 A. できます。登記が完了していない段階でも、査定や進め方のご相談は可能です。必要な手続きと期間の目安もあわせてご説明します。
Q. 家財道具がそのまま残っていますが、片付けてから相談すべきでしょうか。 A. その必要はありません。買取であれば、家財が残った状態でお引き受けできる場合があります。処分費用の負担がどうなるかも含めてご説明しますので、片付ける前にご相談ください。
Q. きょうだい全員の同意がないと相談できませんか。 A. 査定や情報収集の段階であれば、お一人からのご相談で問題ありません。実際の売買契約時には、共有者全員の意思確認が必要になります。
Q. 建物が古く、価値がないと言われました。 A. 建物の評価が出なくても、土地としての価値があります。解体を前提とした評価になる場合もありますので、現況のままで一度ご相談ください。
Q. 空き家のまま数年経っていますが、今からでも間に合いますか。 A. ご相談いただけます。ただし、相続した空き家の売却に関する税制上の特例には期限があるものもありますので、早めに確認しておくことをおすすめします。
まとめ
相続した実家をどうするかは、気持ちの面でも手続きの面でも簡単に決められるものではありません。ただ、空き家のまま置いておくと、固定資産税や管理費といった継続的な負担に加え、建物の傷み、近隣トラブル、税制優遇の期限切れといったリスクが積み重なっていきます。売る・貸す・住むのどれを選ぶにしても、まずは相続登記の状況を確認し、書類を揃え、おおよその金額を把握することから始めると、判断がぐっとしやすくなります。きょうだいで分ける場合は、現金化してから分ける方法が最もまとまりやすく、共有名義のまま先送りすることは避けたい選択です。
横浜エリアで相続した不動産の扱いにお困りの方、空き家をどうするか決めかねている方は、お気軽にご相談ください。
すまいコンシェルジュ株式会社 お問い合わせはこちら → https://sumai-cc.com/
